尼崎市塚口の池田司法書士事務所 司法書士の池田です。

先日、家督相続の登記をさせて頂きました。

家督相続?!普通の相続とは違うの??というところですが、

現代の民法とは違う相続の制度が昔はあったのです。

明治31年7月16日から昭和22年5月2日までの間に相続が発生した場合、明治31年7月16日に施行された民法(旧民法)が適用されます。

今回は、不動産の登記名義人の方が昭和21年に死亡しており、そのまま相続登記をせずにずっと残っている不動産の相続登記でした。

不動産の登記名義人の方が昭和21年に死亡しているため、旧民法が適用されることになります。

旧民法では家制度というのがあり、戸主が有していた地位を次の戸主となる家督相続人が単独で承継することを家督相続といいます。

「長男が家の財産を全部もらうんや~!」というような感じのものです。

このような考え方は、現代の家族観にはなじみません。

そこで昭和22年、民法が大きく改正されました。

家督相続制はすでに廃止されており、現在では性別や年齢に関わらず遺産分割を求める権利が認められています。

今はまだ相続登記は義務化されていませんので(相続登記の義務化の話はまた今度触れます)、相続登記をしない方も沢山おられます。

ですので、今回のような登記名義人がだいぶ昔にお亡くなりになっていてそのままほったらかしの事例は結構あります。

相続登記をせずにほったらかしだと、次にまた相続がおこって、また次に相続がおこってと、どんどん権利が複雑になっていきます。

一人の名義だった不動産が、ほったらかしにしていたせいで、相続人が20人も30人にもなったりすることがあります。

そうなると、遺産分割協議を20人や30人としないといけないことになりますので、大変です。

相続人が沢山いると、中には行方不明の方や、認知症になってしまっている方など、様々な状況の方がおられ、話がまとまるのに、膨大な時間と労力がかかることになってしまいます。裁判手続が入ると本当にもう大変です。

今回の案件も、昔の名義のままだったのですが、戸籍を集める中で家督相続がおきていると分かりました。

家督相続による相続登記が可能な場合は、家督相続した方の名義に移せば良いのです。

しかし、そうではない場合、相続登記が未了のままだと、上記にあげたように手続が煩雑になり一向に進まないという事態にもなります。

そうなると、せっかくの土地が生かせず何もできない土地になってしまう恐れも有り、社会的にも経済的にも損失が出てきます。

そんな土地が日本には沢山あります。

そこで国は相続登記の義務化を進めました。

将来相続登記が義務化されますので、相続の際には是非お近くの司法書士さんにご相談下さい。