尼崎市の池田司法書士事務所 代表司法書士の池田悦子です。

当事務所は相続登記の依頼が多くあります。
登記申請は、法務局に書類を提出しますが、登記申請はオンラインでしておりますので、全国どこの土地の相続登記の申請もできます。

さて、この相続登記は義務ではありません。
よって、放置されている方も多くいらっしゃいます。

しかし、最近よくメディアなどで見聞きする「空き家問題」はこの相続登記が未了のまま放置されることにより、様々な社会問題の要因となっている可能性があります。

相続登記を促進しよう!という目的の一つとして、平成30年度の税制改正により,相続による土地の所有権の移転の登記について、次の登録免許税の免税措置が設けられました。

(1) 相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
(2) 市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち,不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置

(1)の相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置とは
個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、その個人がその相続による土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和3年(2021年)3月31日までの間にその個人を土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされました。

通常の相続登記には、不動産評価額の1000分の4の登録免許税が課されます。
1000万円の土地だったら、通常4万円の登録免許税が課されますが、これが免税になるということです。

ここで注意が必要なのは、「土地」の登録免許税に関することのみということです。
「建物」には登録免許税は課されます。
なお、マンションなどに関しては、マンションの土地は登録免許税は課されませんが、専有部分は登録免許税は課されます。

相続登記の登録免許税の免税措置を受けるためには、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載しないといけません。
記載がない場合は、免税措置が受けられません。
うっかり記載し忘れても、「免税受けられますよ」と親切に教えてはくれません。
黙って登録免許税を取られます。

次に(2)の市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち,不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置とは
土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、土地が市街化区域外の土地であって、市町村の行政目的のため相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして、法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日から令和3年(2021年)3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権の移転の登記については、登録免許税を課さないこととされました。

通常の相続登記には、不動産評価額の1000分の4の登録免許税が課されます。
例えば、9万円の山林だったら、360円なので、1000円未満は1000円の登録免許税が課されるのが通常ですが、市街化区域外で法務大臣が指定する土地にある評価9万円の山林だったら登録免許税は課されないということになります。

なお、法務大臣が指定する土地は法務局・地方法務局のホームページに掲載されています。

こちらも、免税を受けるには,申請書への法令の条項の記載が必要です。
登録免許税の免税措置の適⽤を受けるためには、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」と申請書に記載しないといけません。

司法書士として、「申請書への「非課税!!!」の記載は忘れないようにしましょう!