尼崎の池田司法書士事務所 代表の池田です。

民法が大幅に改正され、司法書士会でも民法改正の研修が沢山行われています。

今回は、民法改正の中の自筆証書遺言の方式が緩和されたというお話です。

自筆証書遺言は、自筆証書遺言をする場合には、遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自書して、これに印を押さなければなりません。

自筆で遺言の文言を全て書くというのは結構大変です。

不動産の記載も、遺言に登記簿通りに書かないと、法務局で相続登記ができないこともありえます。
(登記簿通りに遺言が記載されていなくても、法務局で何とか根拠を示して通すこともあります。)

預貯金も、一つの銀行だったら良いのですが、通常は複数の銀行に預金されている方が多いと思います。

そこで、今回の民法改正では、このような自筆証書の負担を少しでも緩和すべく、民法第968条第1項は、自筆証書遺言をする場合には、遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自書して、これに印を押さなければならないものと定めていますが、今回の改正によって新設される同条第2項によって、自筆証書によって遺言をする場合でも、例外的に、自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産目録」といいます。)を添付するときは、その目録については自書しなくてもよいことになります。

あくまでも、財産目録に関してですので、本文は自書ですのでご注意ください。

目録の形式については,署名押印のほかには特段の定めはなく、書式は自由です。
遺言者本人がパソコン等で作成してもOKです。
土地については、登記事項証明書を財産目録として添付することや、預貯金について通帳の写しを添付することもできます。
これは画期的だと思います。

自書によらない財産目録を添付する場合には,遺言者は,その財産目録の各ページに署名押印をしなければならないこととされています。
両面印刷の際は、両面にそれぞれ署名押印が必要です!

この財産目録を添付する場合の押印について特別な定めはありませんので、本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いませんが、偽造の恐れもあるため、本文と同じ印鑑で且つご実印で押印することをお勧めします。

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号。平成30年7月6日成立。)のうち自筆証書遺言の方式の緩和に関する部分は、平成31年1月13日に施行されます。
同日以降に自筆証書遺言をする場合には,新しい方式に従って遺言書を作成することができるようになりますが、同日よりも前に,新しい方式に従って自筆証書遺言を作成しても,その遺言は無効となりますので注意してください。

以上の通り、自筆証書遺言に関して緩和がなされていますが、緩和されたといっても、財産目録に署名押印を忘れた!等もあると思います。

やはり自筆証書遺言の形式が緩和されたとしても、当職としては費用がかかったとしても、相続時の争いなどの回避のため、公正証書遺言をお勧め致します。